ソリューション紹介

ビッグデータを解析し新たな価値創造を支援する
JDream Innovation Assist / JDreamSR

株式会社ジー・サーチ

新ビジネス推進部 余田由香(2000年入社)

データベースビジネス部 井上和仁(2017年入社)

アプリケーションテクノロジ部 二ツ家匡彦(2003年入社)

ビッグデータから価値を生み出す新ソリューション

情報化社会を支える基幹技術であるストレージ、計算処理、センシング、クラウドなどIT技術の進歩で、インターネット上には多種多様な情報が行き交い、誰もが無料で入手できる情報も増えています。こうしたなかジー・サーチの情報ビジネスにも変革が求められています。新ビジネス推進部の余田由香は「インターネットで検索すれば誰もがたくさんの情報を手に入れるなか、私たち有料の情報サービスには有料サービスならではの付加価値が求められていると感じてきました」と指摘します。

例えば、これまでの文献情報サービスは、膨大な文献のなかから顧客のニーズにあったものを探し出すことが重要でした。これからはAI(人工知能)の自然言語解析などで論文を精査し顧客が必要とする情報にたどり着くのをサポートしたり、たくさんの論文、特許、報道情報などを網羅的に解析し技術動向の分析をサポートしたりする機能が求められています。

こうしたニーズに応えるためジー・サーチでは、2020年以降「JDream SR」「JDream Innovation Assist」などを次々とリリースしてきました。

AIで個別医療を加速する「JDream SR」

2020年10月にリリースされた「JDream SR」は、ひとことで言えばAIによって文献調査を大幅に効率化するサービスです。開発を担当するデータベースビジネス部の井上和仁は「臨床医は、常に最新の研究成果を調べ、患者に合った化学療法などを選択しますが、調査する医学論文の数は指数関数的に増えており、そのなかから患者の治療を選択する情報を拾い出すのは大変な作業になっています」と指摘します。

患者ごとに最適な医療を選択するためには、がん遺伝子と薬物治療の効果などを記述した膨大な論文を精査する必要がありますが、従来の検索手法でヒットした論文をすべて人手で読み込むのは限界があります。こうしたなかAIによる自然言語処理を医療分野で検証する研究を進めてきた井上が取り組んだのがゲノム医療やゲノム創薬に関する論文調査をサポートするシステム「JDream SR」の開発でした。

「JDream SR」では、特定のがん遺伝子を入力すると、AIがこの遺伝子を持つがんに対する治療法の有効性を評価している論文を素早く一覧化。すでにいくつかの医療機関で血液のがんの個別化治療を支援するシステムとして使われています。また、製薬企業ではがん遺伝子に関する研究の動向を解析し創薬に結びつけたり、開発における費用対効果の分析に用いられたりし始めています。

多様な情報源を解析。ビジネスのヒントを発見する「JDream Innovation Assist」

冒頭の余田が中心になって開発された「JDream Innovation Assist」は、2022年5月にリリースされました。余田は「このサービスは、特定のキーワードについて書かれた論文・特許・新聞記事をひとつの集合として解析します」と説明します。

例えば、ある企業がビジネスのシーズとして特定の技術に注目したとき、技術名を入力するだけで、最新の技術動向や注目すべき研究者名、この技術に注力している企業、が関連する特許などを自動で分析しグラフで可視化することができます。各グラフには読み取り方を付与しているため、分析に慣れていない方にも容易に使いこなすことができます。

余田は「新聞情報を分析に加えることで、論文や特許からは読み取れない、売上目標や海外進出など事業化の動向を捉えることができます。技術動向と事業化の動向を同時に把握することで、事業戦略立案や共創先の探索など、企業の技術開発を力強くサポートできます」と話します。

システムの実現にはどのような苦労があったのでしょうか。システム開発を担当したアプリケーションテクノロジ部の二ツ家匡彦は「余田さんが顧客のニーズを徹底的に分析していたので短期間でシステム開発できました。ただ論文、特許、新聞という表現が異なるデータを相互に紐付けていくのは初めての経験だったといえます」と話します。

二ツ家は富士通グループのAI技術などを活用しながら、それぞれの内容にタグ付けを行い実用的な可視化が実現したといいます。また、「開発に参加してくれたパートナー企業の役割も大きかったですね」と二ツ家氏。例えば、パートナーなしでは「JDream Innovation Assist」で最も重要な可視化や誰でも気軽に扱えるユーザーインターフェースは実現できなかったといいます。

ユーザーと一緒に機能をブラッシュアップ

少しずつユーザーが増えている「JDream SR」と「JDream Innovation Assist」だが、余田も井上も現在が完成されたシステムだとは考えていないといいます。余田は「最近のシステム開発では、7割目標が達成 できたら市場に出して検証するという流れになってきました」と解説します。

これは「中途半端なまま出す」ということではないといいます。井上は「100パーセントの状態でリリースした場合、顧客のニーズと合わない部分があったときに修正しにくい。7割で出して、後は顧客の要望をフィードバックしながら最適化した方が、より速く顧客の満足のできるものにたどり着きます。ジー・サーチが想定していない優れた機能を生み出すことにもつながるのではないでしょうか」と話します。

余田も「顧客に、このサービスはまだ7割の状態だと考えている、と伝えると、顧客からは『それでは私たちの要望も取り入れてくれるのですね』と肯定的な意見が多かったですね」と話します。情報サービスのフロンティアであるからこそ、顧客と一緒になって開拓し成長していくことを目指しているといいます。

企業の成長戦略や医療に欠かせない存在を目指す

顧客と一緒に成長していくジー・サーチの新ソリューション。これから何を目指していくのでしょうか。余田は「JDream Innovation Assistは、技術開発の部門だけではなく、技術営業、事業戦略など、技術情報に携わる様々な業務の方に『とっかかりはJDream Innovation Assistだね』といっていただけるサービスにしたい」と将来を見据えます。

井上は「患者の役に立つ情報サービスにしていきたい。現在は、AIの自然言語処理を論文の抽出のために使っていますが、将来は患者の治療をアシストするようなレポートを出せるようにしたい。また、AIの可能性としては論文以外の情報も取り入れて技術予測を行うことで、いまは治療法のない病気のための創薬にも貢献したい。それが私のゴールです」と語ります。

二ツ家は「システム開発の役割は、顧客の要望にとことん応えることです。すでにいろいろな要望が出てきています。なかにはこれまで経験のない技術を用いなければならないこともありますが、ジー・サーチは社員が新しいことに取り組むことを応援してくれる会社なのでどんどん提案していきたいです。
そして、事業戦略立案やイノベーション創出をするにはJDream Innovation Assistが必要だ、と言われるようなサービスに育てたい思います」と話します。

ジー・サーチが開始した次世代の情報サービス創造のための挑戦。これからも社会の声を取り入れながら開発を加速していくことで、「データで社会を幸せにする」という企業目標の達成を目指しています。

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